「失礼致します。私国軍中央司令部在任、ルードア・ヘッセ伍長であります。

 ロイ・マスタング准将のから、本日より警護の命を承りました」

 

ドアから入り込んだ男は、ピシリと敬礼をしながら自己紹介をした。

エドワードは呆気にとられたまま、目の前に揺れる赤茶けた髪をみていたが、

ふと我に返り、声を上げた。

 

「けっ警護っ?!」

 

「はっ!昨今のテロ事件から軍高官の所有地を警護するように言い遣っております。

 マスタング准将はご連絡すると言っておりましたが・・・」

 

確かに、最近紙面を賑わせているテロ事件はエドワードも知っている。

そのために夫が長い間家に帰れていないことも。

加えて、夫からは久しぶりに電話がかけられていた。

急に切れてしまったが、夫が言っていた「伝えたいこと」というのはこれの事だったのか。

 

「・・・夫は今日も帰れない・・・でしょうか」

 

「事件解決までは・・・難しいかと」

 

それまで淀みなく答えていた兵が言い難くそうに答えるのを見て、

「悪い奴じゃなさそうだ」とエドは肩の力を抜いた。

 

キッチンからは作ったばかりの夕食のにおいがしているし、夜は段々と深まりつつある。

普段、ロイは家に仕事を持ち込もうとはしないし、長年の部下以外で家の警護を任せるというのも珍しい。

それはテロに対して手がかかっている事を意味していた。

 

 

「なぁ・・あんた好き嫌いってあるか?」

 

「は?・・いえ、ありませんが」

 

突然に言われた事に戸惑っている様子だが、付き合ってもらおう。

 

「なぁ、夕飯食べないか?多く作ってしまっているから」

ロイエド子