なんて気分がいいのだろう。
青い空はどこまでも続いていて。
風はとても気持ちいい。
草花はそよそよと。
こんな日は世界の全てに祝福されている気持ちになる。
夕食計画
「うぅ〜ん」
ふかりとした草にねっころがって。
くぅと背伸びをする。
コキリと鳴る首は、昨日夜更かしをして同じ体制で本を読んだからだろうか。
ちょっと久しぶり過ぎて体が悲鳴をあげているみたいだ。
買い物の途中。
あまりの陽気のよさに誘われた河川敷。
「奥さん」と呼ばれるのは少々気恥ずかしくて、
その度に真っ赤になってしまう自分をここで落ち着けよう。
こんなにゆっくりした時が流れて。
これから行くのは魚屋さん。
活きのいい魚を見立ててもらって、
小麦粉をまぶして、リゼンブールから届いたヤギのバターでムニエルにしよう。
作り置きしているピクルスと新鮮な玉子で、
添えるタルタルソースも手作りで。
メインはこんなところかな。
じゃがいもが籠にまだ重なっていたから、
マッシュポテトをつくろう。
あとは・・・・。
やっぱり野菜かなぁ・・・。
うん。
野菜のスープも付けよう。
うっわ。
すごい「奥さん思考」な気がする・・・。
いや、奥さんなんだけど。
誰かと一緒に過ごす夕食の意味が変って。
それを作る時間がとても大切になって。
でも、とても自分を癒すのが分かるから。
あの時、まだ自分は軍に残ろうかと思っていて。
だって、何も恩返しできていなかったから、この能力が少しでも役に立つのなら。
彼の危険を回避できる手助けが出来るのなら。
人を傷つけることは怖いけれど、
その先を歩いている彼を、少しでも。
「・・・・エディ。君は軍を離れて、
そうして私を待っていてくれないか?」
少しだけ、辛かった。
いつも同等にいられると信じていたから、
こんな力いらないって言われているみたいで。
「君が待っていてくれるなら、
何があっても君のところに帰ってくることができるから」
こんな自分でも、貴方の帰る場所になれるなら。
それも意味あることだろうと。
貴方がいつも帰って来たいと思う、居場所であるように。
さぁ、買い物に行きましょう。
通りの角の魚屋さん。
恰幅のいいおじさんの呼び込みの声。
世界はこんなにも暖かい。
だって天気がよくて、風が気持ちよくて、花が美しくて。
貴方の為に夕食の準備ができるのだから。
それは世界のすべてに祝福されている証だわ。