ご飯を作った。
もう閉まりかけていたお店にいって、
ご飯をつくるんだといったら、いろいろと安くしてくれた。
おこづかいで材料が買えた。
野菜売りのおばあさんにシチューに入れる野菜をちょうだいといったら、
「一人で作るのかい」と聞かれたから「うん」と答えた。
すると、「まだ包丁は早いから、切ってあげようね」と野菜を切ってくれた。
ジャガイモと人参と玉ねぎ
ママの手伝いの時もパンとかソーセージとかは切ったことがあったけど、
野菜は固くて難しいから「もう少し大きくなってから」と切ったことがなかった。
切るのに失敗しないかとドキドキしていたから、
目の前でママが切ってくれたのと同じ大きさになった野菜をみてホッとした。
野菜を切る間、おばあさんがいろいろと教えてくれて、
シチューに入れる材料のこともよく分かった。どこで買うのかも。
お礼を言って帰ろうとしたら、
「頑張ってね」と甘い飴玉をくれた。
家に帰って、手を洗って、エプロンをして、
いつも使っていたシチュー用の鍋を出した。
ママは背が低かったから、よく使うものは取りやすい位置においてある。
もちろんシチューの鍋も棚の取りやすい場所にある。
『今日はママの特別シューだそ!』
そう言って、ママはこの鍋を出していた。
白い鍋にお花の模様があって、フタには木の取っ手がついている。
「ママ・・・」
思い出したママの顔に泣きそうになったけど、
シチューを作ったらきっとパパは喜んでくれる。
ママのシチューを食べる時のパパはとても嬉しそうだったもん。
「ママ・・・・私、がんばるね」