ハボックとのやりとりに、絶対にバカにしているだろうと呟きながらも、
早く仕事を終えなくては自宅に帰れないことも事実なので、おとなしくそれに従う。


「でも准将、警護は付けたんスか?」

「何の警護だね?まさかあの狸どもではないだろうな」

「違いますって、エドの警護っスよ!!」


「エディの?」

「テロの実行犯の定石でしょう?指揮官殿の弱点を狙うのは」


「だが、エディは国家錬金術師としても名が通っている。
 わざわざ狙う者もいまい。
第一、警護など付ければ妻の機嫌こそが心配だね、私は」


エドのことだ、「何で俺に警護なんてつけるんだ」と
逆に怒り出すに決まっている。

悪くすれば、「俺が犯人を捕まえてやる」なんて言い出すかも知れない。

ただでさえ、トラブルメーカーであることは、長く旅をしていた時から実証済みである。


「まぁ、そうっスね・・・」


納得しながら、「そこの書類を終わらせてくださいね」
と言い残して、部屋を出て行くハボックを見る。




一人残された大量な書類の残る執務室。

ロイは、手を顎に当てて、ふむと考えこむ。

ハボックの前で、ははっと笑いはしたものの、
「・・・やはり、心配か」とロイは積まれた書類に手を伸ばしながら考え直す。

妻が国家錬金術師として知られていたのは一年近く前のことであるし、
私の妻がそうであると知っている者は多いが、
大々的なニュースとして報じられてからずいぶんと時間も経っている。



「馬鹿なテロリストどもに常識は通じない・・・か」

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